商品先物取引　「切り札をさがせ」: ＦＲＢ資産縮小はドル高要因

2017年6月15日木曜日

ＦＲＢ資産縮小はドル高要因

おはようございます。

昨晩、ＦＯＭＣ前に米小売売上高、消費者物価指数（ＣＰＩ）が発表されましたが、予想を下回る数字でＦＯＭＣ後の金利上昇ペースが緩やかなものになるとの見通しからドルが急落し、貴金属が上昇。ＦＯＭＣでは政策金利は予想通り1.00～1.25％に追加利上げ。注目されていたＦＲＢの保有資産縮小について開始時期の具体的明言はありませんでしたが、年内には保有債の償還資金再投資を当初米国債・ＭＢＳ（住宅ローン担保証券）合わせて月額100億ドル、最終的に月額500億ドルまで向こう一年間かけて3ヶ月で100億ドルずつ縮小させていくという方針を示しました。

ＦＲＢはバランスシートをリーマンショック以降ＱＥ1で 9000億ドルから2兆ドル、ＱＥ2で3兆ドル、ＱＥ3で4兆5000億ドルまで拡大させ、現在は償還された証券の再投資を行い4兆5000億ドルを維持させています。これをついに縮小していく方針を打ち出したわけですが、一方の日銀は国債買い入れを継続させていてバランスシートは500兆円を突破。15･16日で開かれる日銀金融政策決定会合でも現状維持が予想され引き続き金融緩和を継続して物価動向を見極めようとしています。日米実質金利差の観点からはドル高円安への流れがつくられてきます。

ＦＥＤウォッチは9月追加利上げ予想は18.0％に低下、12月でも38.1％に低下しています。

米株式は利上げペース鈍化を見越し上昇。ＮＹダウは前日比46.09ドル高の21374.56ドル。ＦＯＭＣ声明発表で保有資産の縮小する方針を示したことからやや下げています。ドル円は消費者物価指数などの悪化からドルが売られ一時108円台まで下落。その後ＦＯＭＣ声明発表で買い戻され109円台中盤。米長期金利は大幅に低下。米10年国債利回りは2.13％。

【ＮＹ金　日足】

チャートは声明発表後の動きが入っていません。終値では1275.9ドルで終えていますが声明発表後は10ドル以上下落しています。米消費者物価指数（ＣＰＩ）前月比-0.1％となる前年比1.9％で予想を下回り物価上昇率鈍化で金利の先行きを緩やかな上昇ペースとみて買われましたが、ＦＯＭＣ声明でＦＲＢ保有資産の縮小の方針を打ち出したことで徐々に値を下げました。しかし経済成長の鈍化もあらわれており追加利上げ、資産縮小ともに実現性へまだ不透明感があることから下げも限定されるとみています。100日・200日移動平均線は今月に入りゴールデンクロスしそれぞれ1,246と1,241ドルに位置しておりこれが下値支え。予想レンジは1,295～1,245ドル。

【東京金　日足】

転換線・基準線がデッドクロス寸前。今朝の突っ込みは一般投資家の買い意欲が強いですが、テクニカル上はボリンジャーバンドがややエクスパンション気味で下げ気配。遅行線が実線を割り込もうとしていますので持ちこたえられるかどうか・・・。正直今週いっぱいみて判断できるかどうかといったところ。ＦＲＢ保有資産縮小について方針が示され「金」にとっては大きな分岐点。2013年バーナンキ前ＦＲＢ議長が緩和縮小について触れたときに大幅下落したのは記憶に新しいですが、それに匹敵する政策を打ち出したわけですので、単純には判断が難しいところです。まだ上下どちらの可能性も残しています。予想レンジは4,500～4,430円。

【東京白金　日足】

夜中の動きは概ね「金」と同じような動きでしたが上げ幅下げ幅がやや異なった動き。前日フィアット・クライスラー社にディーゼル車の排ガス規制不正疑惑の報道があり「白金」相場は窮地に立たされています。パラジウムとのパリティも言われており売られやすい状況にあるのは事実。当面は弱気方針。予想レンジは3,340～3,250円変わらず。

【東京ドバイ原油　日足】