おはようございます。
勤労感謝の日23日(祝)の前日、FRB議長の後任人事が発表され、現パウエル議長が再任されることとなりました。もうひとりの議長候補だったブレイナード現理事は副議長に昇格。パウエル議長については昨年春以降のパンデミックを受けて迅速に大規模な金融緩和を打ち出した手腕への評価は高く、株式市場では人事を巡る不透明感が薄れたことが歓迎され買いが先行しました。NYダウは一昨日晩、昨晩と2日続伸し35813.80ドル。一方、長期金利上昇によってハイテク株中心のナスダックは15775.138と2日続落となっています。S&P500は下落から戻しまちまちで4690.70。米長期金利はパウエル氏が指名されると2022年内の利上げ予想がほぼ100%に達し、さらに前倒しされるとの観測も強まり上昇。2年債は0.614%、10年債は1.676%と約1か月ぶりの水準。ドル円は2017年3月以来の115円台にドル高円安が進行しています。
【金標準先物 日足】
NY金は日本時間22日夜にFRB議長パウエル氏再任の発表を受けて続落。人事についての不透明感が払しょくされパウエル氏運営の下で2022年内に利上げに向かうとの観測が強まり長期金利が上昇し金は売られました。22日時点のNY金総取組高は51万枚の大商いで577,014枚まで減少。現地22日前日比45.3ドル安、23日前日比22.5ドル安の1783.8ドルで米雇用統計発表前11/4の水準まで続落となり『往って来い』となりました。取組高減少から今月投機で買い進まれた分が剥がれた結果となっています。ただ一方、長期保有主体の金ETF残高はSPDRが23日前日比6.11トン増の991.11トンと増加。WGC公表の11/19時点の世界のETF残高も3564.9トン(前週比6.2トン増)。北アメリカ地域が1816.7トン(同10.0トン増)、欧州地域1559.3トン(同0.4トン増)、アジア地域127.6トン(同4.2トン減)、その他61.4トン(同0.1トン増)で欧米買いアジア売りといった内訳となっています。中国石炭価格の落ち着きや世界的に戦略備蓄在庫の取り崩しによって値下がりした原油価格の影響から期待インフレ値も低下しており、感謝祭(25日)含む連休前に投機買いの過熱感が一旦冷やされた様子。インフレ圧力が弱まり利上げ観測が強まることで弱い展開となりましたが、逆に言えばインフレ圧力が弱まれば利上げを急ぐ必要もなくなります。今後もこの駆け引きによるボラティリティが高まる状態が予想されますが、日足ベースでは一目均衡表基準線まで下げ調整が入ったことでまた週足ベースでみるまだ息の長い緩やかな上昇基調は続くものと考えます。
【白金標準先物 日足】
白金も金・銀に歩調を合わせるようにして続落。欧州新型コロナ感染拡大懸念が、他の地域でも広がりつつあり景気の減速感も圧迫要因になっているとみられます。10月中旬の安値価格帯3600円前半に達したことで下げの達成感があるように思われますが、今月買い進まれた分反発にはまだ時間を要するかもしれません。NYのWTI原油が75ドルまで下落してきましたが、戦略備蓄在庫の放出が決まり売り材料が一巡したこともありコモディティの下げは限定される可能性は高いと考えていますが、コロナ感染拡大リスクなども鑑みながら原油価格や金価格の推移を注視していく必要がありそうです。
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