ギリシャの財政危機の背景には、腐敗した社会生活が見え隠れする。
国内の医師や弁護士、建築家ら富裕層が2008年に申告した所得税は平均1万493ユーロ(約131万円)で、年金生活者の所得税申告額(1万6123ユーロ)よりも低かった。単純にこの統計だけで判断すると、ギリシャでは富裕層より年金生活者のほうが裕福だということになる。
.どれほど税金を支払っても、この国では納税額に見合った恩恵を受けられない。そんな国家への不信感が、根底にあるのだろう。脱税が横行した結果、ギリシャの税収入は落ち込み、ますます国家の機能が低下するという悪循環に陥っている。
医療や教育現場などあらゆる公的機関で資金が不足する一方、ギリシャの公務員の数は現在90万人にも膨れ上がっている。ある経済学者によると、同国の公務員は10人中7人は“窓際族”だという。する仕事がないので副業に励み、本来の職場には姿を見せない者も少なくない。出勤する者にしても、朝8時30分に来て11時までコーヒータイム、ネット検索で少々時間をつぶし、午後1時になると2時の終業に向けて帰り支度を始めるという有り様だとか。
公職者の堕落ぶりは、一般職員に限ったことではない。昨年10月まで首相を務めたコスタス・カラマンリスも同様だった。毎日午後2時に港のイタリアンレストランで新鮮な魚料理と白ワインを楽しむと、早々にリムジンで帰宅し、自宅でソニーのプレイステーションに没頭していたという。
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