【ヤバイ経済学】の著者スティーブン・D・レビット氏はハーバード大学の教授である。テキサスの黒人スラム街に生まれ、このままでは他の黒人たち同様ダメになってしまうということで、必死に勉強し今の地位を得た。この著書はアメリカでミリオンセラーとなった。アメリカで2年に1度40歳以下の優秀なに教授贈られる賞を2003年に受賞するなど注目度も高い。
米国の気鋭の若手経済学者が、日常生活に浸透している様々な通念をユニークな分析でひっくり返す。
内容は1990年代、米国では若者による凶悪犯罪が激増するとの予測が広がった。だが、実際には1990年代をピークに米国内のどこでも、あらゆる種類の犯罪が減った。好景気、銃規制、取り締まり強化などの理由が指摘されたが、著者は73年の「ロー対ウェイド裁判」によって、中絶が合法化されたことこそ真の理由と主張する。家庭環境の悪い子供はそうでない子供に比べて罪を犯す可能性がずっと高い。裁判の結果を受け、貧しい未成年の女性が中絶に走ったことで、犯罪予備軍が劇的に縮小したと解説する。もちろんこの考え方にはアメリカ中で物議を醸した。他にも様々な視点からアメリカの社会問題を分析していて面白いので是非読んでみて下さい。経済学と言うよりリアルなアメリカを浮かび上がらせ、何がアメリカをそうさせているのかを浮き彫りにしている感じです。そして、彼の考え方で最も注目しなければならないところは、インセンティブ(報酬)についての研究である。彼はとても貧しい環境で育っているため、そのような環境で育った多くの子供たちが非行・犯罪に走るのを自身の目で見てきている。ではなぜ、そんな中でも自分は腐らずに普通の人間になれたのかと言うところから、人を動かす源はインセンティブなのではと研究し始めたとのことです。彼は様々な実証実験をおこないます。
例えば、保育園のお迎え時間を守らない人が後を立たない保育園で、以後遅れた場合罰金制にした結果、遅刻が更に増えたそうです。遅刻したって罰金払えばいいんでしょとなってしまい、今までギリギリに来ていた人やちゃんと守っていた人たちまでが遅刻するようになってしまったそうです。
彼の主張は、罰はもちろん必要だが与え続ければそれに慣れてしまい腐ると。この状態を立て直すには、目標設定を低くし達成する喜びをまず与え、そこから目的を与え更に高い目標を達成させるべきだと言っています。
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