2026年9月16日水曜日

米長期金利上昇が「金」に与える影響

今晩の米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備理事会(FRB)がインフレ圧力を抑制するため利上げに踏み切る可能性があるとの見方が広がる中、国債利​回りの上昇が続いています。米長期金利の指標となる10年債利回りは再び5%台に乗せ、2007年7月以来の高水準を付けました。米長期金利の上昇については、インフレ圧力が要因となっている一方で、米国債の信頼性が失われている側面があります。

米国債利回り5%超えは2007年以来となりますが、当時の環境と現在の環境を比較してみます。

2026年
・原油高と中東情勢の緊張
・米国財政赤字と国債大量発行
・AI投資に伴う資金需要

2007年
・FRBの金融引き締め
・住宅バブルと経済成長
・インフレ圧力

それでは、米長期金利上昇が「金」に与える影響はどうでしょうか?
米国債利回りの上昇は、金相場に対して「強力な下落圧力(逆風)」と「インフレ・財政懸念による底堅さ(追い風)」という2つの相反する影響を与えます。現在NY金価格は4,300ドル前後で推移しており、これら2つの力が激しくぶつかり合っています。

■下落圧力
①利息を生まない金からの資金流出(機会費用の増大)
金は保有しているだけでは利息や配当を生みません。米国債の利回りが5%を超えると、投資家にとって「リスクが低く、毎年5%の利息が確実に手に入る米国債」の魅力が圧倒的に高まります。その結果、金を持つメリット(機会費用)が薄れ、金から債券へ資金がシフトしやすくなります。
②ドル高による割高感
米国の金利が高くなると、世界中のマネーがドルに集まりドル高が進みます。金は国際的に「ドル建て」で取引されるため、ドル高になるとドル以外の通貨(円やユーロなど)を持つ投資家にとって金が割高になり、買い手が一歩引く要因になります。

■上昇圧力
①原油高によるインフレヘッジ需要
中東情勢の緊迫化に伴い原油価格が1バレル=100ドルを突破したことで、「物価がさらに上がる(インフレ)」という警戒感が強まっています。金は「インフレに強い実物資産」としての性質を持つため、通貨価値の目減りを防ぎたい投資家の買いが入っています
②米国の財政赤字(債務不履行リスク)への懸念
米国の国家債務が膨張し、国債が大量発行されている現状に対し、市場は「国債は本当に安全なのか?」という不信感を抱き始めています。国家の信用に依存しない金は、「究極の安全資産(逃避先)」として選ばれています

現在の金市場は、「金利5%の国債」vs「インフレ・地政学リスク」の綱引き状態です

短期的には、今晩のFOMCでさらなる追加利上げが示唆され、金利が一段と上昇すれば、金価格は一時的に4,230ドルなどのサポートラインを割り込んで下落(調整)する可能性があります。しかし、金利が高止まりしても、米国の財政悪化やインフレが収まらない限り、金が持つ「価値の保存手段」としての本質的な強みは失われず、大手の金融機関の中には将来的なさらなる高値(5,000〜6,000ドル台)を予測する声も根強く存在しています。

2026年11月の中間選挙においては連邦下院は民主党が優勢。予測市場では民主党が過半数を奪取する確率が9割弱に達すると指摘されています。一般的に中間選挙は政権与党が苦戦する傾向にあるほか、ガソリン等の物価高に対するトランプ政権への不満が共和党への逆風となっています。このような環境下でFRBが積極的に利上げ姿勢を打ち出していくことができるかどうかについては、不透明感が拭えません。

【NY金 日足】



【OSE金標準先物 日足】

 

 

 

 

 

 

 

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