2010年11月1日月曜日

農林水産省VS経済産業省

 このタイトルを見て、我々商品市場の問題と思うかもしれませんが、そうではなく農業政策に関しての話題です。

 TTP(環太平洋戦略的経済連携協定)とは、2006年5月にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国加盟で発効した経済連携協定。加盟国間の経済制度、即ち、サービス、人の移動、基準認証などに於ける整合性を図り、高い水準の関税撤廃をめざしている。環太平洋経済協定とも呼ばれる。2015年までに協定国間の貿易において、工業品、農業品にかかわらず、例外品目の極めて少ない関税撤廃と貿易自由化の実現をめざしたFTA(自由貿易協定)を包括するEPA(経済連携協定)である。

  前原誠司外相は26日午前の記者会見で、11月上旬に横浜市で行われるTPPへの参加を検討している国を対象に行われる会合に、外務省の担当者が出席することを明らかにした。

 この問題について、政府内でもまとまっていないのが現状。なぜなら、農産物の関税を原則撤廃となれば、国内の農業が壊滅してしまうという立場を農水省は主張。

 反対に経産省では、TTPに参加しないと日本だけ経済圏の中でのけ者にされてしまい、貿易量の減少につながり、結果的に損をこうむると主張。

・農水省⇒TTPに参加した場合の損失⇒4兆円

・経産省⇒TTPに参加しない場合の損失⇒10兆円

 当方では、TTPへの参加はすべきだと考えています。アメリカやヨーロッパでは、保護主義的ではあるが、所得を補助金でサポートしてあげて農産物の価格を安くし、国内外で市場における競争力を保つというやり方である。

・フランス⇒現金収入の8割が補助金

・イギリス⇒現金収入の7割が補助金

・アメリカ⇒現金収入の6割が補助金

 日本のように、海外からの農産物に対して高い関税をかけ、国内の農産物と変わらない価格にする価格維持での国内農業をサポートしてあげるのではなく、所得でのサポートにより農作物の価格を下げ国際競争力をつけさせるやり方が国際基準。どっちが良い悪いではなく、国際的な流れがそうである以上、日本だけが今の政策を維持させ続ければ、経産省の言うとおりのけ者にされ参加しないでこうむる農業生産額の損失より、参加しないでこうむる農業生産額の方が甚大であると思う。

 現農林水産省大臣の鹿野道彦氏(元自民党。現民主党。平成元年、第1次海部内閣で農林水産大臣に就任)は、山形出身で農業のプロ中のプロ。その山形では、庄内平野という大穀倉地帯があるが、優秀な農家がたくさんあり品質の高い米が多く存在する。彼らは、その米を独自のルートを開拓して世界に輸出している。それがとても効果を上げていて、ヨーロッパなどでは高い評価を上げている。

 中国でも最近では、米価が上がってきてをり、日本との価格差では1.5倍前後になってきているとのことで、品質の良い日本産の米が一昔ではお金持ちだけが買っていたが、一般消費者にも手が届くようになってきている。

 これらを踏まえ、自民党時代の票田となっていた田舎の農家のためだけの政策ではなく、国際的な流れにのった形での政策をしていかなければ、グローバル化の流れに取り残されてしまう。

 真面目に専業農家をやっている農家が馬鹿を見て、ろくに農業をしてない兼業農家が定職を持ち安定的な収入を得ながら、今までの農業政策により農地などの優遇政策にあずかり続けるような政策を続けるようであればお先真っ暗である。

 ちなみに、このことは小沢一郎が20年前から言い続けていることである。