2010年10月26日火曜日

International Currency War

ブラジルのマンテガ財務相が9月27日に訴えた「International Currency War(国際通貨戦争)」。

 
【過去】

 国際通貨戦争は世界恐慌後の1930年代に発生し、それが保守主義の台頭と、深刻な国際摩擦へ繋がっていった。

国際通貨戦争とは⇒「自国通貨価値引下げ競争」のこと。

 
【構図】 

 リーマンショック後の不景気に苦しむアメリカに代表される先進国は、輸出拡大による景気回復を狙って、積極的な金融緩和を行っています。その結果、米ドルは主要通貨に対して軒並み値を下げており、溢れたマネーは成長率の高い発展途上国に流入。途上国が輸出減と資産バブルの発生に苦しんでいる、という構図


【通貨安戦争】

通貨戦争の武器とは

①「量的緩和(お金を印刷して国債を買い、財政出動の穴埋めをする)」アメリカなど
②「為替介入(ドル買い・自国通貨売りによって通貨高による輸出競争力の低下を防ぐ)」日本など

③「直接的資本規制(外国からの投資に対して税金をかける等)」ブラジルなど

通貨戦争の主戦場とは

①中国人民元の過小評価の解消
②先進国による金融緩和競争

③途上国での資産バブルの発生

【人民元の問題】

 同通貨は現在、主に米ドルに対してペッグ(連動)しており、そのレートは中国人民銀行が人為的に管理している。しかし同通貨の価値が過小評価されているという批判の声は、中国との貿易不均衡を解消したいアメリカのみならず、中国と競争する立場にいる、より自由経済的な為替政策を取る途上国からも、日に日に高まっているようです。


中国政府はそんな批判の火消しに躍起になっており、「人民元を上昇させて輸出産業に打撃を与えると、中国国内に社会不安が発生する。リーマン後に中国経済が世界経済を下支えした事を考えると、これは世界全体にとって大きなマイナスである」、「人民元を上昇させたところで、プラザ合意の結果の円高がアメリカの貿易赤字の解消につながらなかったのと同様に、アメリカの貿易赤字問題の解決策にならない(物品は他の地域から輸入されるようになるだけである)」、などと言った、様々な主張を繰り返している。

 これらの中国政府の主張は、概ね正しい内容だと言える気がします。しかし、人民元の割安さについては、消化不能の問題が、「ビッグマック・インデックス」(世界中にレストランを展開するマクドナルドのハンバーガーの値段を用いた、為替価値の比較)を用いて、アメリカでは$3.71のビッグマックが北京では$2.18と40%も割安である。

【先進国の金融緩和→途上国のバブル】
 
 アメリカに代表される先進国は、景気減速に立ち向かうために、超緩和的な金融政策(ゼロ金利誘導、量的緩和など)を継続し、その結果、先進各国の金利は、非常に低くなっています。


 FRBがまたお金を印刷し始めることを予見した為替市場では、これはドル売りにつながり、その結果「比較的」追加緩和に後ろ向きなユーロや日本円は上昇し、また、為替取引が自由化されている途上国(ブラジル、韓国など)でも、通貨高や投機資金の流入が発生。

 アメリカが自国のことだけを考えて金融緩和を続けることによって、世界中の国に被害が広がっている、という批判は、世界中から起こっています。先に日本の菅首相が、韓国に対して責任ある通貨政策(=ウォン売り介入の停止)を求めた際に、韓国は、「それを言うならまずアメリカを批判しろ」と強く反発しました。また、ブラジルやタイでは、外国人による自国通貨建債券の取得にかかる税金を上げたり、源泉税を新たに設けたりと、投機資金流入対策に追われている。

 IIF(国際金融協会)は2010年と2011年の二年間に、途上国には8000億ドル(約65兆円)の資金が流入すると予想しているとか。

 この資金の流れは、途上国によるドル買い介入を誘発すると思われ、IMFは2011年の終わりまでに、中国の外貨準備高は、現在の$2.6 til(約208兆円)から$3 tril(約240兆円)超に、途上国全体では米ドルの外貨準備高は$6.8 tril(約540兆円)と、リーマン危機発生前より5割も増えるだろう、と予想しているそうです。

【How to stop a currency war】

 それでは通貨戦争はどうすれば解決するのか。結局のところ、「世界経済のリバランス」だとおもいます。具体的に言うと、世界の需要は、借金に苦しむ先進国(特にアメリカ)から、急速に経済成長を遂げる発展途上国(特に中国)へとシフトする必要があるということです。


 2008年までの世界経済は、しばらくの間、信用拡大によって購買力を上昇させていたアメリカの消費者が、労働力の安い中国や、いわゆる輸出大国とされるドイツや日本、韓国などで作られた物品を一方的に輸入する、という形で成長して来た。しかし、世界の輸出国の最大の売り先であったアメリカの家計が信用バブル破綻で痛んでいる今、同じ構図を継続することは、物理的に不可能。

 リバランスのプロセスは痛みを伴うものとなる。痛みとは

・中国では人民元を上昇させることで、輸出産業が打撃を受けて労働者は職を失って社会不安が発生するだろう。

・先進国が、これ以上の途上国への投機資金流入を防ぐため、景気回復の為の金融緩和策をやめればまた大不況へと真っ逆様。

 さぁーどうしたものか?

 みんな一緒におててつないで痛みを分かち合おうとなれば、痛みは伴うが膿は出され一から頑張りましょうと。これがハッピーエンドなストーリー。

 しかし、歴史はそうならないことを証明済み。どんなに科学が進歩しようとちっとも進歩しない人間。経験や知恵がいかされず、同じことを繰り返すのは人間の性。

 来年は、株安・商品高なんだろうなと。その前に今年の残りわずかな時間で、株安・商品安。道中商品だけが上げ始めるんだろうなと考えさせられる今日この頃。

コアロジック住宅価格指数

 昨日、8月コアロジック住宅価格指数が発表された。S&Pケース・シラー住宅価格指数よりも
早いタイミングで出ますので先行指標と考えても良い。
 コアロジック社は、主に不動産関連の金融、市場データ収集、企画開発等を扱う比較的新しい会社ですが、そのデータ・ベースは全米殆どの都市や地域をカバーしており、会社の歴史は短いですが、データ・ベースの範囲と長さは十分信頼に当たるものです。
 住宅価格指数は2000年を100として指数化して、3ヶ月移動平均値を前年比年率で表示します。
8月は6月から8月までの3ヶ月間の平均値で、前年比-1.5%と、今年初めてマイナスを記録しました。


鬼城

今中国では、ゴーストタウンが続出しているそうです。

鬼城⇒ゴーストタウン


杭州市郊外で、ヨーロッパ風の高層マンションのニュータウンが林立しているが、5年前に開発され10万戸売り出されすでに完売。しかし、実際に住んでいるのは3割程度だそうです。ほとんどは、値上がり目的の投資だそうです。

5年前の平均価格は、1平方メートルあたり日本円にして4万5千円程度だったが、現在では11万だとか。



26日 入電換算

おはようございます。

G20後の欧米市場では再びドル安が進行。一部提案は
ありましたが、具体策にかけた内容と受け止められました。
引き続きドル安・商品高。

金    -10
銀    -0.3
白金   +23
原油   -170
コーン  -170
大豆   -30
コーヒー +180
粗糖(期近)+830
   (期先)+1090
ドル円  80.86
NYダウ 11164.05 +31.49

昨日、中国市場ではとうもろこしが最高値更新。
米国では中国の輸入に神経質になっており、日中は
中国市場の動向に左右されそうです。

「強気」

本日もよろしくお願いします。