商品先物取引　「切り札をさがせ」: 09/08/25

2025年9月8日月曜日

金　米雇用統計NFP大幅鈍化

5日週末の米株式は反落。米雇用統計発表を受けて当初は早期利下げ期待から買われ、主要3指数揃って取引時間中の過去最高値を更新しましたが、その後は景気への不安が広がり前日比マイナス圏で取引を終えています。NYダウが前日比220.43ドル安の45400.86ドル（取引時間中最高値45770.20ドル）、ナスダックは前日比7.306ﾎﾟｲﾝﾄ安の21700.388（同21878.813）、S&P500は前日比20.58ﾎﾟｲﾝﾄ安の6481.50（同6532.65）。
米8月雇用統計では非農業部門雇用者数（NFP）が2.2万人増と予想を下回る内容となり、労働市場の冷え込みが示されました。短期金融市場では今月の利下げ確率を完全に織り込んだほか、9月を含めて年内3回の利下げの確率を80％超まで引き上げています。FRBにとってはインフレ懸念が残るとはいえ、大幅な労働市場悪化は利下げを決定する大義名分となります。また明日には米労働省労働統計局（BLS）が非農業部門雇用者数（NFP）の年次改定（2024年4月-2025年3月）の速報値を発表。これについてベッセント米財務長官は2024年の雇用者数は80万人下方修正される可能性があると述べています。ゴールドマンサックスは最大で2010年以来最大となる95万人減少の可能性を指摘。
一方、日本の政局では週末に石破首相が総裁辞任を表明、次期総裁候補として高市氏や小泉氏の名前がメディアで報じられています。前回の総裁選で地方票などを合わせた第一回投票で1位となった高市氏は、積極財政論者として知られており、日本の財政赤字が拡大するのではとの警戒もあって、海外勢を中心に円売りで反応しているとみられます。ドル円は今朝から円売りドル買いが進み、一時1ドル148.56円（9:21）に円が下振れ。日経平均株価は財政拡張派の新政権誕生への期待から大幅に続伸し前日比625円06銭高の43643円81銭と8/19の最高値43876円42銭目前の水準まで買われました。

【ドル円　日足】

【NY金　日足】

【OSE金標準先物　日足】

週末5日のNY金12月限は雇用統計発表を受けて大幅上昇。前日比46.6ドル高の3653.3ドルと史上最高値を更新。週明け日本時間での時間外でも3650ドル付近を維持しています。国内OSE金標準先物8月限は週末夜間立会い終了時点では前日比37円高の17125円とドル安円高に上昇を抑えられていましたが、週末の石破首相の辞意表明でドル円は約1円のドル高円安でアジア時間が開き、前日比134円高の17222円と大きく窓を空けて最高値更新となる寄付きでスタートし、一時17298円（9:23）まで買い進まれました。日中取引終値は前日比165円高の17253円で終了しましたが終値ベースでも大きく高値を更新しています。FRBの利下げ観測は強まり、市場は年内3回の利下げを想定。ドル金利も低下し「金」にとっては買い進まれやすい環境になっています。明日の米労働省労働統計局（BLS）の年次改定も非農業部門雇用者数の下方修正される可能性が指摘されておりドル建て金価格の上昇圧力が続く中、日本の政局事情から円売り圧力も強まり、円建ての金価格は水準をさらに押し上げてくる可能性が強まります。

【NY白金　日足】

【OSE白金標準先物　日足】

OSE白金標準先物8月限はプラス圏を回復し前日比7円高の6147円で日中取引を終了。朝方はマイナス圏での推移でしたが、午後からドル建て価格が上伸しプラス圏を回復しました。「金」の続伸が少なからず白金価格にも影響しているとみられますが、投機的な動きが加速するには7月の持ち合いレンジを上抜ける必要があると考えます。

セミナー　今後の予定

9/20(土）（東京）講師：エミン・ユルマズ