2010年3月28日日曜日

ラマラ・コンサート




 ユダヤ系の音楽家バレンボイムとパレスチナ系の学者であり音楽家でもあるエドワード・サイードによって音楽を通して平和を実現するために創設されたイスラエル、パレスチナ、ヨルダン、レバノン、エジプト等の若手音楽家からなるオーケストラによる、パレスチナ自治区ラマラでのコンサート・ライヴと、同オーケストラの始まりと活動を関係者の証言やコンサート映像で綴る「知らなければ何も始まらない」と題したドキュメンタリーからなる作品です。本活動がイスラエル政府に評価されたバレンボイムがウォルフ賞授賞式の席でイスラエル政府に問題を提起し、それに対してイスラエルのスポーツ文化相が反論する緊迫した場面も収録されています。


 ●映画の内容は、2003年9月、パレスチナ出身の世界的知識人であるエドワード・サイードが亡くなった。後半生を過ごしたニューヨークでもなく、生誕の地であるエルサレムでもないレバノンのブルンマーナに、2004年春、サイードの墓はつくられた。
彼の複雑な背景を物語るその墓所のエピソードから、映画は始まる。
荒れ狂う濁流のような歴史に呑まれたパレスチナの土地と人々の暮らし。周辺のアラブの国々で難民として暮らすパレスチナの人々。他方、ディアスポラとして長年迫害の歴史を生きてきたユダヤ人達。世界中からイスラエルに帰還してきたそのユダヤ人達が抱える、被害と加害の混在する深い矛盾。
エドワード・サイードの遺志と記憶をめぐる旅は、イスラエル・アラブ双方の知識人たちの証言を道標に、サイードが求め続けた和解と共生の地平を探る。
そして、サイードと共にイスラエル・パレスチナの子ども達の未来のために、音楽による共生を実践しようとしていたダニエル・バレンボイムによる追悼講演の時のピアノ演奏で、映画は静かに終わる。
 エドワード・サイードの著書「OUT OF PLACE」では著書は、自分のルーツを探求するのは人間の性だと。 土地に翻弄され続けた自分の人生を通して自分のアイデンティティーをを問い続けたサイードが最後にたどり着いた答えが 「OUT OF PLACE」。 「土地」という枠組にとらわれずに イスラエルとパレスチナを「ニ民族一国家」として共存を目指した彼をただの理想家と済ますことは出来ない。我々日本人にはなかなか理解できない世界。是非、ご覧になってみてください。

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