トムソン・ロイター傘下の投信情報会社リッパーがまとめた米国ファンドの資金動向に関する週間調査(1月29日までの週)によると、新興国市場の株式ファンドは差し引き26億ドルの流出となった。流出額は2011年2月以来の大きさだった。
新興国債券ファンドは3週連続で流出超となり、6億0600万ドルが流出した。
リッパーの米調査責任者、ジェフ・トヨロネホイ氏は「新興国市場に関しては、投資家は今確実に資金引き揚げモードとなっている。この状況は来週も変わらないだろう」との見方を示した。「これは単に市場のボラティリティが高すぎるためだ。今週も一段の損失が発生しており、投資家にとって楽観できる余地は残り少なくなっている」と述べた。
同氏によると、新興市場株式からの資金引き揚げを主導したのは機関投資家であり、投資手段としてはETF(上場投資信託)が多かったという。
ただ同氏は「個人投資家は新興市場株式へのコミットメントが低く、ヘッドラインリスクがこの資産クラスを支配している」と指摘した。
半面、株式ミューチュアルファンドには102億4000万ドルが流入し、6週連続の流入超となった。
課税債券ファンドには11億ドルが流入し、流入超は4週連続となった。低リスクのマネー・マーケット・ファンド(MMF)は、前の週の123億ドルの流入超からこの週は58億ドルの流出超に転じた
新興国のリスクは、序章なのかも知れない